アクリル画の制作方法を3つのポイントに絞り込んだ入門書『絵画の教科書・アクリル画編』

下地、明暗法、絵具・画材の3つのポイントに解説を絞り込んで書かれたアクリル画の入門書『絵画の教科書・アクリル画編』を読んでみました。これからアクリル画を使いはじめてみたいと思う人や、明暗法を理解したい人におすすめの書籍です。

3つのポイントに絞り込まれた内容

古山浩一さんの著書『絵画の教科書・アクリル画編』はページ数が87ページほどの入門書なのでサッと読むことができます。ページ数は少ない理由は下地、明暗法、絵具・画材の3つのポイントに焦点をあてて解説しているので、アクリル絵具の入門者であっても簡単に理解し、実際に使うことがでるように構成されているからです。「どのように使ったらいいのかわからないテクニック」などはあえて掲載していないので、独学で絵を学びはじめる人でも学習することができると思います。

絵画の教科書・アクリル画編

チャプター1:下地

8種類の下地の作り方を解説しています。下地が違えば絵の表現も大きく違ってきますので簡単なものから少しずつチャレンジするといいでしょう。

チャプター2:明暗法

明暗法の基礎をわかりやすく解説しています。特にコントラストを使ったテクニック(視覚的トリック)は重要なのでP31の立方体は実際に描いてみると理解が深まると思います。また明暗法を元にグリザイユ技法、カマイユ技法への応用も解説されているので色彩についても学べるように書かれています。

チャプター3:絵具・画材

筆、ペインティングナイフ、絵の具についての選び方から、使い方まで解説されています。これからアクリル画にチャレンジしたいと考えている人はこの書籍を持って画材屋さんに行き、店員さんに相談しながら購入するといいと思います。親切な店員さんならば必要な画材をすべてそろえてくれるでしょう。

その他のチャプター

人物画と静物画の描き方を解説したチャプターが掲載されています。どちらのチャプターも明暗法を使った描き方にポイントをしぼっているので、これからアクリル画にチャレンジしたい人が読んても理解しやすいと思います。

入門書を読んだら

入門書『絵画の教科書・アクリル画編』を読んだらすぐに画材屋さんに行って道具をそろえることをおすすめします。やる気になった時に行動しないとなかなか新しい趣味は始めることができません。また絵を描いたり、物を作ったりする趣味は頭で理解しただけでは全く役に立ちません。この本で学んだことを実際にチャレンジし、体験を通して習得することが一番重要です。

絵画の教科書・アクリル画編
出版社: 芸術新聞社
著者: 古山浩一

アクリル絵具で絵を描くことに慣れてから油絵具を使ってみる

美術館で巨匠の描いた油絵の作品を見て、自分も油絵を描いてみたいと思った人は多いと思います。私もさまざまな画家の作品を見て同じように油絵を描くことにあこがれてきました。しかし、いざ油絵具を使用してみると油絵具には独自の問題点があり、そのことが原因で絵を描く自体をやめてしまった人もいると思います。

そこでこれから絵を描きはじめたいと考えている人にはアクリル絵具で絵を描くことに慣れてから、油絵具にチャレンジすることをおススメします。下記に油絵の問題点とアクリル絵具の利点についてまとめてみました。

油絵具の問題点

油のにおい

油絵具の問題点はにおいです。油絵具は顔料(色)に油を混ぜることにより、色をキャンバスに接着させます。この時に使用した油のにおいが強いので作業場所、もしくは絵の保管する部屋が確保できないと油絵具を継続して使うことが難しいです。

ちなみにアメリカではガレージを作業場と保管場所にしている人が多いのですが、残念ながらアメリカのガレージのように作業できる部屋がないのでどの部屋を作業場にするか悩んでしまいます。使ってない部屋があるからと言って仏間を使用するわけにもいかないでしょうし・・・日本画ならありかも?(笑)。

引火性

油を使うので発火の危険性があります。油絵具は油が酸化する作用で固まります。条件によっては熱を持ち発火することもあるようです。なので油や作品の保管、油を拭いた布などの適切な管理が必要です。

有害性

これも油のにおいに関係することですが、テレピン油には有害性があり、気化した蒸気を吸うと頭痛や目眩などを引き起こす可能性があります。制作中や油絵の保管時にも部屋の換気が必要です。子供やペットと一緒に住んでいる場合はあまり好ましくないかもしれません。

もし油絵制作のための作業スペースが確保でき、油絵具を使うことを決心した人は東京芸術大学 佐藤一郎教授+油画技法材料研究室編による専門書『絵画制作入門―描く人のための理論と実践』を読まれることをおススメします。特に78ページから83ページまで読まれると有害性や有毒性について理解できます。危険なケースについても書かれているので読んでおいた方がいいでしょう。

絵画制作入門―描く人のための理論と実践

水溶性の油絵具という選択もある

アクリル絵具と油絵具では仕上がった質感が違います。なので油絵具の表現にこだわりたい人は『水溶性の油絵具』を使う方法もあります。油絵具を水で溶けるので安心です。通常の油絵具は水で溶けませんので『水溶性油絵具』と書いてある絵具を購入してください。

アクリル絵具の利点

安全

油を使わないで、水でアクリル絵具を薄めるので安全です。においの問題もありませんし、引火する問題もありません。ただし油絵具もアクリル絵具も毒性のある顔料があるので食べたり、傷口につけたりしてはいけません。よって制作中の飲食などはひかえた方がいいでしょう。

水彩絵具のようにも表現できる

薄める水の量を多くすることで水彩絵具のようにも表現できるし、少なくすることで油絵具のようにも表現できます。多彩な表現にチャレンジできるので、絵の学習に大変役に立ちます。

乾燥が早い

アクリル絵具は水分が蒸発することで固まります。なので油絵具に比べて乾燥するのが早く、次の作業がしやすいです。仕事が忙しく、週末のみしか絵の制作時間がとれないような人には便利でしょう。

まとめ

最初はアクリル絵具を使ってみる

これから絵を描きたいと考えている人におススメするのはアクリル絵具です。日本の住宅事情を考えると油絵を描けるような作業スペースを確保できる人は少ないと思います。もちろん上記にあげた水溶性の油絵具を使えば問題ありませんが、水彩絵の具のようにも使えるアクリル絵具を使用したほうが初めて絵を描く人にとっては使いやすいと思います。

絵を描くことに慣れたら油絵具も使ってみる

油絵具は絵を描くことが習慣として身に付いてから使用しても遅くはないので、まずは挫折しにくいアクリル絵具で絵を描くことを楽しんだ方がいいでしょう。私としては最終的にアクリル絵具と油絵具の両方を使ってみることをおすすめします。アクリル絵具では表現が難しかったことが油絵具で簡単にできてしまうこともありますし、質感が違うので絵を描く楽しみ方も変わると思います。

書籍『アクリル画パーフェクトガイド』を読む

200の質問に答える形式でアクリル絵具のことがわかる書籍『アクリル画パーフェクトガイド』を読みました。アクリルを使う利点、道具の紹介と使い方、基本的な技法、色彩や構図などの基本的な技法など話題が豊富な上に、すべて丁寧に解説されています。これからアクリル画をはじめようと思っている人だけでなく、絵を趣味で描きたいと思っている人にもおすすめできるテキストだと思います。

画材店の世界堂でもこの書籍をおすすめしているようで、はアクリル絵の具コーナーにこの書籍『アクリル画パーフェクトガイド』がサンプルとして置いてありました。この書籍を見ながら欲しい画材を棚から選んで購入できたので非常に助かりました。

アクリル画パーフェクトガイド: 200のQ&Aでやさしく学べる

第1章ではアクリル絵具を使って絵を描く利点や何ができるかを解説しています。また第2章ではアクリル絵具の特性について説明しています。ここまで読めばアクリル絵具がどのようなものか理解することができます。アーティスト用とスチューデント用の違い、フルボディーとソフトの違い、チューブとボトルの違いなど、これからアクリル絵具を購入する人には大変ためになる解説が書いてあります。

第3、4、5章ではブラシ、ナイフ、パレット、メディウム、キャンバスなどの解説が書いてあります。ここまで読むだけで、必要な画材のことを理解できるので、画材屋さんで道具をそろえる時に便利です。

第6、7章ではアクリル絵具の使い方を解説しながら、さまざまな技法を解説しています。技法なんて言うと難しそうに聞こえますが、技法をひとつひとつに分解して説明してあるので、初心者でも簡単に使うことができると思います。第8章はアクリル絵具と他の画材を併用することでさらに幅広い表現ができることが理解できると思います。

第9、10章では絵を描くための基礎を学びます。構図、色彩、アイディア出し、写実、模写など、アクリル絵具以外の画材でも役に立つ内容となっています。

以上のような構成で必要な基礎知識がまとまっているので、これからアクリル絵具を使ってみたい人や初心者の人には役立つと思います。