『油絵入門 ビギナーズ・ノート』を読む

『油絵入門 ビギナーズ・ノート』を読む

監修/小木曽 誠さんの油絵入門ビギナーズ・ノートを読みました。油絵のことが全く知らない人がよんでも、簡単に理解し、油絵に挑戦できる書籍だと思いました。簡単に読むことができますが、各ステップを実践しようとすると内容が濃いので、長い時間かけて絵を描くことが楽しめる書籍になっていると思います。

Step1
画材の紹介が簡素に解説されています。絵具に毒性があること、ブラシの使い方と手入れの仕方、メディウム(画溶液、溶き油)など基本的なことが書かれています。また絵具メーカーの解説も書かれているので、これから絵具を購入する人には役に立つ情報だと思います。この本の最後のページにも絵具、筆、テンペラ絵具、キャンバスの作り方などが書かれているので最初に目を通してみるといいでしょう。

これから油絵をはじめるひとにとってメディウム(画溶液、溶き油)の選択は頭を悩ませるところですが、この書籍ではテレピン油、スペシャルペンチングオイルを使用して油絵の描き方を解説していくので、まずはこの2種類をそろえるだけでOKです。画材についてもっと知りたい人は絵画制作入門―描く人のための理論と実践を読むことをおススメします。専門的な書籍ですが読みやすいし、辞書のようにもつかえるので、持っていると便利だと思います。

絵画制作入門

Step2
リンゴ、バナナ、かぼちゃ、ティーポットなどをモチーフとして、基本的な油絵の描き方を学習します。絵を描くステップに合わせて、その時に使う溶き油の種類と配合の仕方がイラストで説明されているのでわかりやすいです。またカマイユ、グリザイユ、プリマ描きなどのような専門用語も学びながら、テクニックも学べます。一度描いたモチーフを背景色で塗りつぶし、再度モチーフを描き直す方法はこの後のステップでも出てくるので、重要なテクニックになります。初めて絵を描きはじめた人にとっては「一度描いた絵を塗りつぶしてしまうなんて、もったいない・・・」と感じるでしょうけど、大胆に挑戦してみてください。




Step3
オウムガイ、ビン、野菜とかごなどのモチーフとして、透明・不透明の使い分け、ナイフによる厚塗り、ぼかし方を学習します。ナイフの使い方とぼかしの仕方については理解しやすい項目だと思います。ナイフの塗り重ねについての注意点とホワイトの使い分けが理解できればこのステップは問題ないでしょう。透明・不透明については顔料によって特性が違うので、使いながら感覚的に学べばいいと思います。もちろん受験勉強みたいに丸暗記すればマスターできることかもしれませんが・・・趣味なんだからそんなに思いつめて勉強しなくてもいいと思いますwww。

Step4
ガラスのボトル、ハッサク、花などをモチーフとして構図の決め方とドリッピングの仕方を学習します。構図の決め方については丁寧に解説が書いてありますが、絵を描いていく上で常に考えていかなくてはならないことなので、気長に学習していくつもりで挑戦するといいでしょう。ドリッピングは今まで学習してきたテクニックとは全く違う表現ができます。ブラシで描くことに慣れてきた頃だと思うので、気分転換にいい課題だと思います。




Step5
人形、かごと流木などをモチーフに材質の質感とモチーフ全体の空間について学習します。丁寧にポイントが解説されていますが、初心者である私のようなレベルの者がそう簡単にマスターできることではなさそうです。ここまでくるとこの書籍で学ぶというより、今後の宿題として課題を出されたような感じですwww。ここまで実践すれば自分で試行錯誤しながら油絵制作にとりくむことができると思います。

Step6
小木曽誠さんの作成過程を解説しています。今まで学んだ様々なテクニックがどのように活用されているのか再確認できます。このようなすごい写実画が描けるようになるわけではありませんが、この章は見て楽しめればいいと思います。写実に興味がある人は小木曽誠さんのWebサイトに行くと他にもさまざまな作品が見ることができるので、もっと楽しめると思います。またホキ美術館の収蔵作家一覧にも名前が載っているので、作品が公開されていれば見ることができるかもしれませんね。