人物デッサンや人物をモチーフに作品制作をしていると解剖学を勉強する必要性を感じると思います。しかし「難しい医学用語で解説さても理解できないのでは?」と感じてなかなか勉強する気にならないと思います。
「解剖学は難しい」そんな思いこみを払拭してくれた書籍がアーティストのための美術解剖学』です。アーティストが理解できるように解剖学の基礎から解説し、必要な知識にターゲットをしぼっています。また専門用語には読み仮名と英語が併記されているので読みやすいです。
対象となる読者
人体における各部位の名称や構成そして機能について学べます。なので解剖学の基礎知識を使って人体デッサンや作品制作に応用したい人向けの書籍です。ただし解剖学の書籍なのでジャック・ハムさんの著書『人体のデッサン技法』のような人体の描き方を解説した本ではありません。
初心者でも手元に置いておきたい書籍
初心者にとって解剖学はすぐに応用できる知識ではないかもしれません。しかしいずれマスターしなくてはならない知識だと思います。なので初心者はこの書籍を手元に置いて少しずつ理解していけばよいと思います。掲載されている情報量がかなり多いので時間をかけて何度も読んでいくうちに自分なりの応用の仕方ができるようになると思います。
原書のタイトル
原書のタイトルは『Classic Human Anatomy: The Artist’s Guide to Form, Function, and Movement』です。直訳するなら『伝統的な解剖学;アーティストのための形、機能、動きのガイド』といった感じでしょうか?なので原書には日本語訳のタイトルについている『デッサン・漫画・アニメーション・彫刻など、人体表現、生体観察をするすべての人に』と書かれた副題は書いてありません。たぶんこの副題がついた理由は著者のヴァレリー・L・ウィンスロゥさんがピクサー・アニメーションスタジオで教えていたり、アニメーションの教育で有名なCalArtsで教えていたからでしょう。
解説とイラスト
医学や解剖学の知識がなくても理解できるように解説がされています。第1章:解剖学用語から読んでいくと人体の成り立ちがよく理解できるので読んでおいた方がいいでしょう。後の章は興味のある部位から読み進めてもいいと思います。またイラストが豊富に掲載されているので理解しやすいです。
難しい用語について
解剖学の難しいところは用語が読めないような漢字で書かれていることです。しかしこの本ならば難しい漢字をいちいち調べる必要がないので大丈夫です。各解説でとりあげられる解剖学の名称には読み仮名と英語名が併記してあるので学習しやすいです。また英語名は発音、語源、同義語などの解説が書いてあるので便利です。
解剖学活用ガイド
巻末に掲載されている解剖学活用ガイドと用語解説は人体の名称を覚えるのに大変便利です。解剖学活用ガイを使って人体の名称を辞書のように使って調べることができます。また英語名での表記もされているので役に立ちます。