2016年4月22日から『生誕300年記念 若冲展』が開催されています。この展示会を見る前にぜひ読んでおくといい本が『奇想の系譜』です。
忘れ去られていた若冲
現在は異常なブームと言っていいほど人気がある伊藤若冲ですが、辻惟雄さんが書いた『奇想の系譜』が出版されるまでは忘れ去られた画家でした。若冲の作品はあまりにもユニークだったために、いつしか日本の伝統美術として評価されない状況になってしまったようです。もちろん日本の伝統美術全般の人気が無くなる傾向にあったので仕方なかったことなのかもしれません。
奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
若冲ブームを作った『奇想の系譜』
辻惟雄さんが書いた『奇想の系譜』は長年の歳月をかけて少しずつ反響を呼んできました。この本はもともと雑誌『美術手帖』に掲載されていた記事なので、伊藤若冲に関する記事は短いです。その短い記事が時間をかけてこのようなブームを作り上げたのですから、本当にすごいことです。『奇想の系譜』は日本文化の価値観を変えた記念すべき書籍と言っても過言ではありません。
海外のコレクターの活躍
幸か不幸か若冲の作品は『奇想の系譜』に紹介されている他の画家の作品と同じように海外に買い取られた作品が多くあります。ボストン美術館に引き取られた作品もあれば、海外のコレクターに引き取られた作品もありました。特に有名なコレクターがエツコ&ジョー・プライス夫妻です。著者の辻惟雄さんとプライス夫妻がいなかったら現在のような若冲ブームは起きなかったでしょうし、美術史のなかで単なる脇役としての評価しかされなかったでしょう。
ちなみに今回の展示会にあたって辻惟雄さんとプライス夫妻の鼎談が開催されました。
待ち時間に読むのに丁度いい
現在開催されている『生誕300年記念 若冲展』では入場するまでに数時間待つような状態です。なのでまだ『奇想の系譜』を読んだことが無い人はこの待ち時間を使って読んでおくことをおすすめします。最低、若冲の記事、辻惟雄さんのあとがき、服部幸雄さんの解説は読んでおきましょう。ただし待ち時間が長いので絵を見る前に疲れないようにしてくださいね(笑)。
辻惟雄さんの本
辻惟雄さんの本はたくさん出版されています。そこで『奇想の系譜』に関係がある書籍をリストしておきます。
奇想の図譜
奇想の発見: ある美術史家の回想
ギョッとする江戸の絵画
若冲