絵を描くのに才能は必要なのか? 名門美術大学が教えるマイレージという考え方

絵を描くのに才能は必要なのか? 名門美術大学が教えるマイレージという考え方

「趣味で絵を描いています。」と言うと、決まって帰ってくる言葉が「絵の才能があるなんてうらやましい!」という返事。本当に「うらやましい」と思っているかは怪しいところですけど(笑)、日本人は「自分には絵を描く才能がない」と思っている人がけっこう多いようです。

「自分には才能がない」という嘆き

年配の方が多く集まるカルチャースクールでも「自分には絵を描く才能がない」と言う嘆きを聞くことがあります。特に絵を描き始めたばかりの人がこの嘆きの言葉をつぶやくと次回のクラスから来ない確率が高くなるので注意が必要です。せっかく子育てや仕事から解放されて自分の好きなことをはじめたのに、「自分には才能がない」と思って趣味をやめてしまうのはもったいないことです。




「才能」よりも「トレーニング」が必要

美術系の大学を卒業した友人たちは「才能なんていらない。美術予備校でデッサンの基礎からトレーニングし、テクニックを学べば問題ない!」と言います。なので初心者に必要なのは適切なトレーニングをこなしたり、テクニックを学ぶことです。しかし義務教育では絵を描くためのトレーニング方法やテクニックなどを教えていないので、絵を描くことは「学習でき、教えることのできる技術」だということにすら気がつかれていないのが現状です。

補足:絵が描けない原因を解説し、絵を描くための効果的な学習システムを作ったテキストが『脳の右側で描け』です。この本に掲載されているトレーニングを体験すれば「学習でき、教えることのできる技術」だと理解することができると思います。詳しくはこちらのリンクに記事をまとめています。

決定版 脳の右側で描け[第4版]
ベティ エドワーズ (著), 野中 邦子 (翻訳)

「生まれ持っての才能」という考え方を否定する

カーデザインで世界的に有名な大学アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでは「生まれ持っての才能なんて無い」と教えているそうです。世界トップクラスの大学で「生まれ持っての才能」という考え方を否定しているのですから、初心者である我々が「自分には絵を描く才能がない」なんて嘆くのは意味がないことです。




「マイレージ」という考え方

アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでは「生まれ持っての才能」を否定する代わりに、「マイレージ」という考え方を教えるそうです。「マイレージ」とは走行距離のことで、自分が「どのくらいのまで到達したのか?」と考える方法です。

計測できる指標を使う

「才能」のように計測することのできない指標で自己評価をしても意味がありません。それよりも「マイレージ」のように「作品を1000個作った」「毎日アイディアスケッチを10年続けた」など達成したことを数値数で考える方が役に立ちます。

「生まれ持っての才能」と言っていられない現状

アートやデザインの分野では競争が激しいのでアートセンターのような有名大学を卒業しても就職はなかなか厳しいようです。日本の大学とは違い、アメリカの私立大学は数千万円に及ぶ学費がかかります。就職できない学生は巨額の借金だけが残ってしまうので「生まれ持っての才能」などと言って安心感に浸ってられないのが真相です(笑)。