ガンダムやヤッターマンなど日本を代表するロボットアニメのメカニックデザインを手掛けてきた大河原 邦男さんの著書『メカニックデザイナーの仕事論』を読みました。
大河原 邦男さんの著書『メカニックデザイナーの仕事論』
メカニックデザイナーとして大河原 邦男さんが作り出したロボットのデザインを紹介しながら、デザイン手法、当時のプロジェクトの状況などを解説している本が『メカニックデザイナーの仕事論』です。
中盤には仕事論についてまとめている章があるので、アーティストやデザイナーはもちろんのこと、ものつくりに関わるビジネスマンが読んでも為になると思います。
最終章には中村光毅さん、安彦良和さん、富野由悠季さん、手塚治虫さんについて書かれており、人との出会いの重要性を論じています。
作品も豊富に掲載
昔のアニメに詳しくない人が読んでも大丈夫なように、大河原 邦男さんが描いた作品がたくさん掲載されています。また作品が掲載されているおかげで、大河原 邦男さんがどのように考えてデザインしているのかよくわかります。ただし文庫本なので画集のようにまとめられた本ではありません。
偶然メカニックデザイナーになった話
大河原 邦男さんの仕事論の前提として、偶然たどり着いた仕事がアニメであり、担当したプロジェクトがヒットを連発してメカニックデザイナーという仕事が生まれたという状況だったようです。また大河原 邦男さんはアニメファンではなく、メカ好きだったことがメカニックデザイナーとして独自の道を切り開いてこれたと、ご自身について分析しています。なのでアニメファンやメカニックデザイナーになりたいという人以外が読んでも楽しめます。
仕事論
基本的にはアニメーションやメカニックデザイナーの仕事論やアドバイスが書かれてありますが、営業マンとしての経験がある大河原 邦男さんなので、ものつくりに関わる人やビジネスマンが読んでも役に立つと思います。
特に「アーティストではなく職人として仕事に関わる姿勢」を持つことでチームプレイヤーとしてプロジェクトに関わることの重要性や、玩具メーカーとアニメーションスタジオの双方を納得させる営業論などは、自分の立場に置き換えて考えてみると改めて学べるところがあるのではないでしょうか?
夢中でやり続けることの大切さ
「あとがき」には趣味のものつくりが高じて自宅を町工場のようにしてしまった話が書かれています。この話は「仕事のために」ではなく、自分の好きなことを夢中でやり続けることの大切さを教えてくれます。これから何か趣味をはじめたいと思っている人たちや、趣味でものつくりやアートを制作している人たちが読むと励まされると思います。