「モノの形をとらえて描けるレベル」を「絵が描ける」とは言わない

「モノの形をとらえて描けるレベル」を「絵が描ける」とは言わない

私は絵を趣味としてはじめたのが大人になってからだったので、子供のころから絵を描いている人たちはどのような学習方法で腕を磨いてきたのか気になっていました。

どうやって絵が描けるようになったのか?

そこで子供のころから絵を描いている人たちに「どうやって絵が描けるようになったのか?」と学習方法について尋ねてみました。しかしその答えの多くが「どうしてだろう?いつの間にか描けるようになった」と無自覚な人が多く、私の疑問は長いこと謎のままでした。




「無自覚 = 神童」では無い

「無自覚で絵が描けるようになってしまった」と答えられると神秘的な感じに聞こえますが、事実は「子供だったので記憶にない」もしくは「子供のころの学習過程について振り返って考えたことは無い」というのが答えでした。決して「生まれ持った才能が必要」とか「神童だった」というわけではないようです(笑)。

自然と絵が描けるようになった経緯

なかなか子供のころの学習過程を語ることができる人にめぐり合えなかったのですが、あるデザイナーさんが自然と絵が描けるようになった経緯を説明してくれました。

自然と絵を描けるようになった人は、たいてい子供の頃に漫画やアニメを描くのが好きで、 模写をしているうちにモノの形を写すことができるようになるそうです。また子供にとって漫画やアニメを模写は遊びの一種であり、特別なトレーニングをしているという意識がないので無自覚なケースが多いとのことでした。

「モノの形をとらえて描けるレベル」を「絵が描ける」とは言わない

しかし子供の頃に絵が描けるようになった言っても、あくまで「モノの形をとらえて描けるレベル」であり、それは「絵が描ける」レベルではないとのことです。冷静に考えてみれば「モノの形をとらえて描く」ことは基本中の基本でしかなく、絵やイラストを制作するにあたってはさまざまなテクニックや理論を駆使しなくてはなりません。




「自然と絵が描けるようになる」ことは無い

上記のような理由から子供が美術教育を受けずに「自然と絵が描けるようになる」ことはあり得ないそうです。また子供に「モノの形をとらえて描く力」があったとしても、美術教育を受けずに描いているだけならば、そこそこのレベルにしか到達していないだろうとのことでした。

確かにピカソだって徹底的に教育されたから絵が描けるようになったのであって、自然と絵が描けるようになったわけではないですから。(ただしピカソの場合は親が美術教師なので9歳から14歳くらいの間で技法を完全マスターしています)

通常は教育機関で美術を学ぶ

子供のための美術教室などもあるのでピカソのように英才教育を受けている子供もいるのかもしれませんが、通常は高校生になって「美大受験のための予備校」で基本的なテクニックを学び、トレーニングを重ねるケースが多いそうです。ちなみに早い子供は中学生から予備校に通っているそうです・・・普通の受験と同じですね。

学習することの大切さ

通常の学習過程でさえ「美大受験のための予備校」で徹底的に学習するわけですから、独学で絵を描いている私などは、改めて基礎から学習する必要があることを実感させられました。ちなみにいろいろ教えてくれたデザイナーさんは私の友人なので本当はもっと厳しくアドバイスされました。「独学でチンタラ勉強してないで、予備校で基礎をすべて学んでこい!」と・・・(T_T)